物販店の内装工事について

物販店の内装は、良し悪しが利益に影響しやすいため、重要度が高いといわれています。物販店の場合、飲食店のようにガスや水道が必要なわけではないので、内装工事の費用についてはそれほどかかりません。ただ、ほかのお店との差別化を図ることや、お客様に店や商品を魅力的に見せるための内装を整える必要があります。

物販店の内装で大事なこと

レストランのように、入店したお客様が必ずお金を使うわけではない物販店では、商品の魅力を引き立ててくれる内装の役割がとても大きくなります。お客様が入店しても、ただ商品を見て出て行ってしまう割合の多い物販店の内装は、以下のような考え方で作ると効果的です。

商品を引き立てる内装

物販店では、商品を売るために、内装に力を入れる必要があります。しかし、これは決して内装にお金をかけてきれいに仕上げるということではありません。物販店においては、商品の魅力を引き立たせるための優れた内装が必要なのです。内装と商品がけんかしてしまっては、商品の魅力がお客様に伝わりません。物販店においては「内装は商品を引き立てるもの」という考え方でデザインすることが重要です。

店正面のデザインで引きつける

物販店では店正面のデザインでお客様を引きつけ、店内に誘導することが重要です。売上を作るためには、お客様が店内に入ってくれないと何も始まりません。ショッピングセンター内の店舗であっても、路面店であっても、お客様を引きつけるためのルックスを整えると同時に、店内に入りやすい工夫をしましょう。

お客様を誘導するレイアウト

店正面のデザインにより店内にお客様を誘導したら、次に重要になるのが店内のレイアウトです。物販店の場合は、お客様になるべく長い間店に留まってもらうことで、商品購入の機会を増やします。

店舗レイアウトでよく言われるのが、人間工学に基づく「左回りの法則」の重要性です。人間は時計回りとは逆の左回りで動くことを好む傾向があるので、その傾向に合わせた動線を店内に設けます。また、右利きと左利きの割合は9:1で右利きが圧倒的に多いので、お客様が手に取りやすい右側にディスプレイ用のラックやテーブルを設置するとよいでしょう。店内の動線をしっかり作り、お客様を回遊させながら商品を手に取ってもらうことが、物販店ではとても大切な戦略になります。

物販店の内装工事にはいくら必要?

物販店における内装の役割はとても重要ですが、飲食店など、ほかの業種と比較するとそれほどお金はかかりません。通常、坪単価にして10~60万円程度あれば、内装を仕上げられます。しかし、高級品を販売する場合は、それなりに高級な内装に合わせましょう。高級時計や貴金属を販売する物販店の内装は、坪単価が100万円を超える場合もあります。

物販店向けの物件の選び方

物販店向けの物件には、スケルトン物件と居抜き物件があります。開店資金に余裕がある場合は、スケルトン物件を借りて、ご自身の好みの内装に仕上げることをおすすめしますが、そうではない場合は、すでに内装がある程度整っていて、あまり手を加えずに開店できる居抜き物件をおすすめします。

物販店向けの居抜き物件は数が多いため、それほど苦労しなくてもいくつか候補となる物件は見つかります。しかし、居抜き物件を選ぶ場合は、コンセプトに近い物件を選ばないと、結局は内装工事にお金がかかってしまったということにもなりかねないので、慎重に吟味しながら物件を選ぶ必要があります。理想に近い内装の物件が見つかれば、資金をセーブすることが可能です。

もしもなかなかよい居抜き物件が見つからない場合は、スケルトン物件から選ぶことになります。条件次第では、スケルトン物件を選んでもそれほど出費額に差がないこともあるので、資金の状況を考慮しつつ決断するとよいでしょう。

内装工事業者の選び方

物件選びとともに大切なのが内装工事業者選びです。内装業者は数多くありますが、どの業者にも得意としている分野があるので、可能な限り、物販店の内装工事を得意としている業者を探しましょう。物販店の内奥は、飲食店の内装とは、押さえるべきポイントに違いがあるので、経験の少ない業者ではやや不安です。コンセプトを内装デザインに落とし込むのに苦労してしまう場合もあるので、いくつかの内装業者を絞り、さらに作業内容と見積もりの料金を比較しながら適切な業者に作業を依頼するようにしましょう。

最近は、内装業者をインターネット上で検索・比較することが可能な比較サイトがありますので、まずはこのような際とを利用して調べてみるとよいでしょう。ただし、実際に内装工事を依頼する際は、必ず現場の物件を見てもらい、そのうえで最終的な見積もりを出してもらいます。コンセプトをしっかりと内装に落とし込むために、入念に話し合いをおこない、魅力的な店舗を作り上げましょう。

見積りが安すぎる業者は避ける

比較サイトを利用すると、いくつかの内装業者に対し、かんたんに見積もり依頼ができます。比較もかんたんなので「こんなにもお手軽に業者が見つかるものなのか」と思ってしまうこともありますが、業者を選択する際は、冷静に見積もりの内容を見比べて判断しなければなりません。

注意すべき業者の代表格は、あまりにも見積りの安い業者です。同じ工事を依頼しているのに、あまりにも安い、もしくは高い見積りを出してくる業者は、作業についてあまり理解していない、もしくは資材の質を落として不当に費用を削減しようと考えている可能性があります。このような業者だと、さらなる手抜きをおこなわないとも限らないので、内装工事の依頼は避けましょう。

デザインだけ別に発注するやり方も

内装工事業者にすべてを依頼するのではなく、内装デザインだけ設計会社に依頼する方法もあります。デザイナーと話し合いをしながら、理想のデザインを設計していきますが、このときに重要なのが、物件に定められているルールを確認しながら設計を進めることです。多くの場合、物販用のスペースには何らかのルールが定められています。

物販店の内装と商品

物販店で取り扱う商品、数量は、内装デザインと大きく関係します。百貨店の商品陳列方法を思い浮かべてみてください。商品により、陳列方法には違いがあるはずです。したがって、販売する商品の種類や数量があらかじめ定まっていないと、それに合わせた内装を作ることができないので、内装デザインの前に、これらについてはしっかり定めておきましょう。

物販店の内装とディスプレイ用の什器

ディスプレイ用什器の製作は、物販店の内装の中では出費がかさむ作業のひとつです。既製品を購入して使えば費用は抑えられるものの、やはりオーダーメイドのように美しく内装に溶けこんでくれることはありません。予算がどうしても不足する場合は市販品でも構いませんが、プロの作る什器は、まさに内装の一部ですので、予算が許す限り、什器もデザインしてもらうことをおすすめします。

まとめ

物販店の内装工事に関して、他店との差別化を図ること、そして商品の魅力を引き立たせることの重要性について解説してきました。物販店の内装工事は、ほかの業種と比較するとそれほどお金はかかりません。しかし、お客様を店内に誘導し、商品を手に取ってもらうために、しっかりとデザインすることが大切です。